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ベトナムの建設市場 現状と開発動向

ベトナムの建設市場 現状と開発動向

ベトナムの建設市場は、建設資材価格やプロジェクト実施費用の強い変動に影響されています。要因には、安定しているものもあれば、変動しやすいものもあります。将来においても、建設市場は引き続き増加すると予想されています。

建設資材市場の概要
2022年初頭から続くロシアとウクライナの戦争により、ガソリン、石油、金属などの原材料価格が高騰しています。これが要因で、ベトナム市場でも鉄鋼価格や運賃が上昇しています。さらに、中国政府がコビッド19による禁輸を解除したことで、中国建設市場が回復し、周辺市場の鉄鋼価格も上昇しました。そのため、ベトナムの鉄鋼輸出量は2023年1月期に2倍に増加し、輸出額も前年同期比で63.5%以上増加しました。この輸出量と輸出金額の増加により、国内の鉄鋼価格は2022年の最後の月に冷え込んだ後、再び上昇しました。

2019年から2023年までの鋼材価格チャート

ベトナム政府は、2023年初めから環境への影響を最小限に抑え、鉱物資源の浪費を避けるため、建設材料として使用される鉱物の採掘活動をすべて見直し、強化、管理するよう地方当局に要請しています。南北高速道路のコンポーネントプロジェクトを大量に実施する一方で、採掘を強化することで市場に出回る建設資材、特に砂や砕石が不足しています。砂と砕石は、モルタル、コンクリート、レンガ、杭など、他の建設資材を製造するための主要原料でもあります。そのため、砂と砕石の需要が増すと同時に、これらの資材の価格も上昇することになります。

2019年から2023年までの建材価格チャート

2019年から2023年までの建設資材の価格上昇率

建設市場の概要
2022年半ばから政府は、銀行に対して特に不動産の取引に関する融資制限を求め、高い融資金利と承認の難しさが生じ、融資を制限しました。同時に、多くの大手不動産会社が政府からの調査を受け、ローン事業に関する経営や行政手続きの誤りをチェックしています。また、予算不足のため中断された大型プロジェクトが相次いでおり、国内の建設市場は凍結しています。このため、建設業の仕事量の75%以上がアパート、オフィス、住宅の建設に依存していることから、建設会社は厳しい受注競争に直面しており、生き残るために事業利益の減少を受け入れることすら厭わなくなっています。

建設市場の発展傾向
建設資材の価格や建設コストの上昇は、プロジェクトの実施にとって大きな課題となります。そのため、建設業者は、建設資材の価格上昇に対応するために、省エネルギーや省資源技術の採用、代替資材の使用などの方法を検討する必要があります。また、建設実施コストの削減にも注力する必要があります。例えば、建設期間の短縮、人件費の削減、建設現場の効率化などがあります。

一方、政府は、建設業界の発展を支援するために、建設資材の供給を確保し、価格の適正化を図る政策を検討することが重要です。例えば、建設資材の輸入や国内生産の促進、建設現場での資材の再利用などがあります。また、銀行が建設業界に融資を行う際には、リスク管理を適切に行うことが必要です。政府が建設業界の発展に取り組むことで、建設資材の価格や建設コストの上昇を抑え、建設業者が安定的に事業を展開できる環境を整備することができます。