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マレーシアで事業を拡大するための紹介製薬および医療機器産業(7回シリーズ)第7回:マレーシアへの投資:事業登録

マレーシアで事業を拡大するための紹介
製薬および医療機器産業(7回シリーズ)
第7回:マレーシアへの投資:事業登録

第7回:マレーシアへの投資:事業登録

本シリーズの最終章では、マレーシアの医薬品・医療機器業界で事業に投資をするために必要な企業登録や製品登録プロセスを簡単に解説します。さらに、本業界に投資する際に有用な情報とサポートに参照できる規制委員会および業界団体も紹介します。

企業登録
すべての外国企業は、マレーシアで事業を開始するために以下を登録する必要があります。

企業登録の流れ
ソース:MIDA発行の「Guide on Medical Devices Industry in Malaysia」

 

1.    製造プロジェクトの承認

マレーシアでは、1975年工業調整法(Industrial Co-ordination Act 1975、ICA)に基づき、MYR 250万(約JPY 7,750万)以上の株主資本を有するか、75人以上の常勤従業員を雇用する製造業は、製造業ライセンス取得が義務付けられます。本ライセンスは国際貿易産業省(MITI) より発行されます。

尚、新規プロジェクトへのすべての投資、および既存企業による事業拡張と多角化に向けた投資は100%の外国資本保有が認められるようになります。

 

2.    駐在員ポストの承認

マレーシア人があらゆるレベルの雇用で訓練され、雇用されることを確実にするための努力として、企業はより多くのマレーシア人を採用して訓練することが奨励されています。それにもかかわらず、適格なマレーシア人が不足している場合、又は投資を保護するために、製造会社は駐在員を連れてくることが許可されています。但し、会社ごとに許可される駐在員ポストは数人のみです。

許可される駐在員には、「キーポスト」と「タイムポスト」の2種類があります。キーポストは、利益と投資を保護するために外国人によって恒久的に埋められる高レベルの管理職です。タイムポストは、指定された期間内に埋められたポジションであり管理職または非管理職の場合があります。管理職は、それぞれの仕事に関連する専門的な資格、実務経験、スキル、専門知識を必要とする中級レベルの管理職および専門職です。非管理職は、特定の技術的または実践的なスキルと経験を必要とする技術的な仕事です。

許可されるキーポストとタイムポストの数は、各ケースのメリットによって異なります。すべて駐在員関連の申請書は、MIDAに提出する必要があります。

 

製品登録
医薬品および医療機器製造業の企業は、事業者登録に加えて、以下の当局に製品を登録する必要もあります。

1.    医療機器

2012年医療機器法(Medical Device Act 2012 (Act 737))の施行により、マレーシアで製造、輸入、または販売されるすべての医療機器は、医療機器業界の規制を担うマレーシア保健省傘下の医療機器庁(Medical Device Authority、MDA)に登録する必要があります。

本法律の詳細については、「第3回:マレーシアのヘルスケア状況:医療機器」を参照してください。

2.    医薬品

1984年薬物および化粧品管理規制(Control of Drug and Cosmetics Regulations 1984、CDCR)により、すべての医薬品は、製造、販売、供給、輸入、加工、または投与される前に、医薬品管理局(Drug Control Authority、DCA)に登録することが必要になります。

医薬品の定義については国家医薬品規制庁(National Pharmaceutical Regulatory Agency、NPRA)の公式ページを参照してください。

 

3.    輸出専用の製品(For Export Only、FEO)

FEO製品は輸出目的として現地で製造され、現地で販売されていない製品を定義します。現地で包装・再包装され、再輸出されることを目的とした輸入品は対象外となります。以下はDCAに対してFOEの登録が必要になる場合です。

a)    輸出用製品はDCAによって登録されていますが、異なる色(配合)、形状、強度又は分類カテゴリーとして輸出されます。登録された製品に変更がなければ、FEOの登録は必要ありません。
b)    輸出用製品はDCAによって登録されていますが、輸出のみを目的としており、マレーシアでは販売されなくなります。
c)    輸出用製品はDCAによって現地での使用が許可されていない成分が含まれている場合、輸入国の所轄官庁からの当該製剤の輸入及び販売に異議がないことを確認できる資料が必要となります。

申請者は、登録されているFEO製品について、医薬品証明書(Certificate of Pharmaceutical Product、CPP)を申請することができます。詳細はNPRAの公式サイトに参照してください。

 

4.    マレーシアハラールロゴの使用

自社製品にマレーシアハラールロゴ(製品は必要な条件を満たし、材料にシャリア法で許可されている成分が含まれていることを証明するロゴ)を使用しようとする企業は、検査と認証を受けるためにマレーシア・イスラム開発庁(JAKIM)に登録する必要があります。

尚、JAKIMは、ハラール業界の監視を担当する世界初のハラール認証機関であり、国際的なハラール機関の認定プログラムは、世界で最も厳格で人気のある二国間ハラールシステム認定プログラムです。その結果、マレーシアのハラールロゴは、世界的に認められたハラールロゴとなります。

 

政府規制当局
医薬品・医療機器業界で事業に関連する行政機関は以下の通りです。

マレーシア投資開発庁(Malaysian Investment Development Authority、MIDA)
マレーシア投資開発庁(MIDA)はマレーシアへの製造業およびサービス業の投資誘致を担う政府機関となります。MIDAは、製造業およびサービス業への投資を意図している企業を支援し、プロジェクトの実施を促進します。提供する幅広いサービスには、投資の機会に関する情報の提供や、合弁事業パートナーを探している企業の促進が含まれます。

公式ページ:https://www.mida.gov.my/

 

マレーシア保健省傘下の機関
1.    医薬品管理局(Drug Control Authority、DCA)

マレーシアの医薬品は、医薬品管理局(DCA)によって規制されています。DCAは、1984年薬物および化粧品管理規制(CDCR)に基づいて設立された下部組織であり、医薬品の登録、ライセンスの制度を通し、医薬品の品質、有効性および安全の確保を担っていなす。医薬品の科学的および技術的レビュー、検査および監視活動は、DCA下の事務局である国家医薬品規制庁(NPRA)によって実施されます。

 

2.    国家医薬品規制庁(National Pharmaceutical Regulatory Agency、NPRA)

国家医薬品規制庁(NPRA)(旧名:国家医薬品管理局(NPCB))は、DCA の事務局として、医薬品の品質を管理するために設立されました。NPRAは、一般的および機能的な主張を持つ健康・栄養補助食品の登録を承認する責任を持つ。なお、すべての化粧品は医薬品のカテゴリーとして規制されています。

本機関の業務は以下のようです。
a)    登録およびライセンススキームを通じて医薬品の品質、有効性、安全性を確保すること
b)    販売前に、すべての製品の科学的データと試験を評価すること
c)    市場の医薬品を監視すること
d)    医療関係者及び消費者に医薬品に関する情報を提供すること
e)    他の国の医薬品規制当局の担当者に教育コースを処理し、トレーニングを提供すること

1996年にNPRAは世界保健機関(WHO)から「医薬品規制管理のためのWHO協力センター」として国際的に認められました。本認証は、規制関連業務分野におけるNPRAの貢献に対する認証となります。

公式ページ: https://npra.gov.my/

 

3.    医療機器庁(Medical Device Authority、MDA)

医療機器庁(MDA)は、マレーシアの医療機器業界にサービスを提供することを委託された政府機関となります。本機関は保健省の下で、2012年医療機器法(Medical Device Act 2012 (Act 737))を施行する連邦法定機関です。本法律の主な目的は、医療機器に関連する公衆衛生と安全の課題に対処し、医療機器の貿易と産業を促進することです。2012年医療機器法に基づき、本機関の業務は以下となります。
a)    医療機器の登録
b)    適合性評価機関(Conformity Assessment Body、CAB)の登録
c)    業許可(Establishment License、EL)の発行
d)    自由販売証明書と製造証明書の発行
e)    トレーニングの提供公式ページ:https://www.mda.gov.my/

 

 

主な業界団体
以下に、製薬および医療機器業界の主な団体を紹介いたします。これらの団体は、国内最大のメーカーのいくつかで構成されて、政府と緊密に協力して最新情報を提供し、業界を改善しています。

1.    マレーシア医薬産業機構(Malaysian Organization of Pharmaceutical Industries、MOPI)

マレーシア医薬産業機構(MOPI)は、1981年3月6日に、医薬品の製造に携わる8つのマレーシア企業、外資及び合弁会社によって保証有限責任会社として設立されました。MOPIのメンバーシップは、マレーシアの製造施設が保健省に属する医薬品管理局によって認可されている医薬品のすべてのメーカー及び協会に開放されています。現在、MOPIが49メンバーに増え、国内のすべての主要な製薬メーカーはMOPIのメンバーとなります。

公式ページ:https://mopi.org.my/

 

2.    マレーシア医薬品協会(Pharmaceutical Association of Malaysia、PhAMA)

マレーシア医薬品協会(PhAMA)は、バイオ医薬品の大手企業41社を代表しています。その中では規制、研究開発(R&D)、医療の専門知識、金融、情報技術、人事、法務およびコンプライアンス、およびロジスティクスと倫理的マーケティングの専門家集団が含まれています。PhAMAは、グローバルおよびローカル当局との調整において貴重な経験を結集しています。

公式ページ:https://www.phama.org.my/

 

3.    マレーシア医療機器協会(Malaysia Medical Device Association、MMDA)

マレーシア医療機器協会(MMDA)は、マレーシア国内での医療機器および関連するヘルスケア製品および機器の流通と販売に関与する地元の製造業者、地元の認定代理人、輸入業者、サプライヤー、流通業者、多国籍企業、サービスプロバイダーで構成される団体となります。

公式ページ:http://www.mmda.org.my

 

4.    マレーシア医療機器製造業協会(Association of Malaysian Medical Industries、AMMI)

マレーシア医療機器製造業協会(AMMI)は、1989年に設立され、マレーシアの医療技術業界をリードする医療機器製造会社を代表しています。 AMMIには現在80の会員企業が登録されており、合計「Made-in-Malaysia」医療機器の総輸出収入の半分以上を占めています。

公式ページ:https://ammi.com.my

 

シーエムプラス海外情報発信HP事務局

 

第6回:マレーシアへの投資:政府のインセンティブ