トピック

プロジェクトマネージメント基礎知識-VOL.3

プロジェクトマネージメント基礎知識-VOL.3

6.プロジェクトマネジメントの体系

PM における計画と WBS の重要性について述べたが、実際にプロジェクトを遂行する際のマネジメントの領域について体系化がされている。PM の古典的テキストである PMBOK 3) では、マネジメントの領域を 10 の知識体系として整理しており、それは下記となる。

① 統合管理
② スコープ ( 役務範囲 ) 管理
③ スケジュール管理
④ コスト管理
⑤ 品質管理
⑥ リソース ( 経営資源 ) 管理
⑦ コミュニケーション管理
⑧ リスク管理
⑨ 調達管理
⑩ ステークホルダー管理である。

其々の管理要素については 2 章以降にて詳述する。
なお、日本では、P2M ( プログラム・プロジェクトマネジメント ) 標準ガイドブック 4) に見られる通り PMBOK を踏襲しているが、欧州や国連などでは、英国政府により策定されたPRINCE2 5) が主流である。

両者の PM 手法の方向性に根本的な相違は無いが、PMBOK ( 図5) は役務範囲を規定し、プロジェクト・マネージャが全責任を負いプロジェクト遂行を行うことを基本として、プロジェクト遂行に必要な知識や手法などを記載していることに対して、PRINCE2 では、組織のエグゼクティブを巻き込んで、事業全体としてプロジェクトを推進していくことを基本として、主に手順やプロセスに関する記載がされている。
なお、ISPE/Project Management for the Pharmaceutical Industry6) は、両者の考え方を踏襲している。


図5 PMBOK 10の知識体系

7.基本計画・基本設計の重要性

前項まで、PM の重要性について述べて来たが、幾ら PM 力が強く、それが機能しても、エンジニアリング力が薄ければ施設建設の PJ は成功しない。PM とエンジニアリング力はプロジェクトの成功を牽引する両輪である。
特に基本計画ならびに基本設計は、この段階の成果がプロジェクト費用の 80% 程度を左右すると云われており、Cost Influence Curve が数多く提唱されている。以下に、ISPE/Project Management for the Pharmaceutical Industry に掲載の Project Cost Influence Curve ( 図6) を示す。

基本計画ならびに基本設計に於いては、ユーザー・エンジニアリングの視点で、UR (User Requirement:ユーザー要求 ) による要件定義、設計条件、検討事項、成果物、関係部署との調整事項等に不足が無いか特に注意が必要である。3 章、4 章にて具体的な実施項目、成果物について詳述する。


図6 Project Cost Influence Curve

 

次回「第2章 PJ計画(PJの仕組み作り)」へ続く。

 

参考文献
3) PMI (Project Management Institute,Inc.), “A Guide to the PROJECT MANAGEMENT
BODY OF KNOWLEDGE Fifth Edition”, 2013
4) プロジェクトマネジメント導入開発調査委員会、「P2M プロジェクト & プログラムマネジメント標準ガイドブック」、( 財 ) エンジニアリング振興協会、2002 年 ( 第 2 刷 )

5) OGC (the Office of Government Commerce9, “Managing Successful Projects with PRINCE2”, 2004 (tenth impression)

 

シーエムプラス海外情報発信HP事務局


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