- 2025 . 04 . 08
- 建設投資情報
建設費の動向 2021から2024まで
建設費の動向
2025年3月
東南アジアでは建設費の基本的な情報として ARCADISが公開しているConstruction Cost dataに主要都市の建設費が掲載されています。下表は、2021年から2024年の変動率をまとめたものです。
東南アジアの経済は概ね堅調で、2020年から世銀統計が掲載している最終年2023年まで、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの6か国のGDPは+24%、インドも入れた7か国で+28%となっています(米ドル換算ベース)。6か国のGDP合計は日本のGDPの58%でしたが、2023年には87%になっています。インドを入れた7か国では2020年で既に日本のGDPを超えていましたが(111%)、2023年の比率は172%になっています。
一人当たりのGDPは、6か国平均では日本の37%が、2023年には57%となっています。特にシンガポールの伸びが大きく、2023年は84,734ドル、日本の2.5倍までになっています。円安の影響もありますが、日本の経済力が相対的に大きく下落していることがこのような数値比較により実感できます。
建設投資も含む工業生産高は、2020年は6か国合計で日本の68%でしたが、2022年には111%となり日本を超えました。インドを入れると日本の188%と、倍に近い数値となっています。
このように全体経済は上昇傾向ですが、建設費はシンガポールとインド以外はドルベースでは下落しています。下落している原因は地域や建物用途及びプロジェクト内容により異なると思われます。実際のプロジェクトにおいては市場の動向とプロジェクトが必要としている内容を詳細に分析することが大事です。
上記の表において、下値の方が下落率が大きい地域は、経済が拡大していく中で施工会社も増え競争が激しくなっているのが単純な理由と思われます。他方、高値の方が下落率が大きい地域は、ローカルの施工会社の技術力が向上しているとも考えられます。技術が高いローカルとインターナショナルな会社との競争により価格が下落している可能性があります。確かにローカル会社の技術力は向上していますが、品質のばらつきも拡大しています。
このように建設コストが全体経済の動向とは異なる方向で変動していますので、個々のプロジェクトにおいては現地建設費に精通したQSなどを適切に活用しながら品質とコストを監理していく必要があります。
【執筆者】
シーエムプラス海外情報発信HP事務局
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