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ベトナム最低賃金改定:2026年1月より平均7.2%引き上げ案

ベトナム最低賃金改定:2026年1月より平均7.2%引き上げ案

ベトナムの地域別最低賃金が2026年1月1日から平均7.2%引き上げの方向で調整されています。適用となれば2024年7月1日以来1年半ぶりの改訂となります。
現行の最低賃金は、2024年7月1日施行の政令第74/2024/ND-CP号に基づくもので、この時は2022年比で平均6%の引き上げが決定されました。

今回の引き上げ率は、内務省が以下の要点を総合的に考慮したうえで、政労使(政府・労働組合・企業代表)の委員で構成される国家賃金評議会の政府への勧告を受け入れたかたちで、すでに政令草案が公表されています。

1) 社会経済情勢や労働市場、企業の生産能力は好転している。マクロ経済は安定を維持し、2025年上半期のGDP成長率は7.52%に達し、通年で8%超を目指す。労働市場は安定・回復基調にあり、企業活動も堅調。労働者の賃金・所得は引き続き増加傾向を示している。
2) 政令第74/2024/ND-CP号に定められた最低賃金の実際の値は、消費者物価指数(CPI)の上昇により、時間の経過とともに徐々に低下している。2025年と2026年のCPIは毎年3.7%上昇すると予想されており、上記の最低賃金では2026年末までに労働者とその家族の最低生活水準を保証できなくなり、約6.6%低下することになる。

3) 政令第74/2024/ND-CP号では、最低賃金が郡レベルの行政区分に基づき地域別に設定されている。2025年7月以降の行政再編に伴い、政府は新たなコミューン単位に連動して地域区分を見直す必要がある。

改訂された場合の現行との比較は以下のとおりです。

地域別最低賃金 現行と改定案との比較

地域 現行
VND
2026年1月1日適用案
VND
引上げ率
%
月額 時間単価 月額 時間単価 月額 時間単価
グループⅠ 4,960,000 23,800 5,310,000 25,500 7.06 7.14
グループⅡ 4,410,000 21,200 4,730,000 22,700 7.26 7.08
グループⅢ 3,860,000 18,600 4,140,000 20,000 7.25 7.53
グループⅣ 3,450,000 16,600 3,700,000 17,800 7.25 7.23

政令が公布されましたら、あらためて主な工業団地ごとの最低賃金についてお知らせいたします。

【執筆者】
田山 恵里子

株式会社シーエムプラス海外戦略室所属。工業用地の選択等、東南アジア(特にベトナム)への日本企業進出支援に従事。ベトナム在住20年。シンガポール系デベロッパーによるベトナム南部工業団地のマーケティング・顧客進出支援、日系ゼネコンの営業を経て、2019年TaskLighting Co., Ltd.をホーチミン市に設立。ベトナムでの事業展開に関わる営業請負いサービスを提供する。2023年から株式会社シーエムプラスに参画。


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