- 2026 . 04 . 09
- ホワイトペーパー
プロジェクト予算管理 -AllowanceとContingency-(1)
予算を超過しないリスク費用(AllowanceとContingency)の考え方 (1/2)
今回は、少々マニアックな話かもしれません。海外ではCost Controllerもしくは、Control Managerというプロジェクトのお金を管理する専門職が存在し、彼らが作成するであろう管理表には「Allowance」と「Contingency」という二つの予算項目が表示されることがあります。この二つの管理項目の違いが何なのかあまり意識していないプロジェクト関係者も少なくありません。
これらは両方ともリスクに備えた費用ではありますが、一般的には、リスク費用は、①発生することは明確だが定量的推算が難しい費用(Known Unknowns)。②発生するかもしれない不確実なリスク費用(Unknown Unknowns)、の二つに大きく分類され、Cost Control管理表の中では、前者をAllowance、後者をContingencyと呼びます。

Allowanceには、仕様未確定機材の予備費(コントラクターとの契約時に仕様未確定機材の項目が存在することはよくあります)、地盤改良(改良範囲は現地の地盤状況によって異なる可能性がある)に伴う工事費用、試運転に使う原料の調達費(試運転が1回で済まない場合もあり、原料を多めに調達しておく場合がある)などが考えられます。
Contingencyには、異常なインフレ、地中障害物の対策費、法令改正対応費、異常気象対策費、調達機器納期遅延、コントラクターの変更・倒産による追加費用、為替変動による影響、試運転不具合対策費、地域住民との調整遅延(騒音、振動、交通)、Allowanceに見込んだ推算値のズレ等、案件の特性によって多くの項目が挙げられるはずです。多くのリスクはコントラクターからのクレーム項目に対応するでしょうから、前回までの本シリーズでお話しした(コントラクターからの)追加クレームで示した項目はほぼ全てこのContingencyでカバーされることになります。
注意点としては、ビジネス環境変化による製造ライン・プロセス変更などは、プロジェクト予算ではなく会社として負うべき費用になり、プロジェクト予算管理上のContingencyに含めることは適切ではないでしょう。
Allowance項目の内、工事請負会社役務に含めるべき項目があれば、それをProvisional Sumとして暫定価格項目として契約に含め、最終的に発生した差異を清算する単価を契約書に設定しておくというような対応が考えられます。ただし、それらの数があまりに多いと一括契約した意味が無くなってしまいますから、もちろん、項目数を最小にするにこしたことはありません。発注者側の立場が強い案件では、強引にコントラクターに対して仕様・数量変更費用の振れ幅リスクも契約金額に含めてもらうこともあり得ますが、昨今、なかなか発注者がそのような強い立場に無いケースが多いのではないでしょうか。
なお、プロジェクト遂行中に実施するかしないかを判断する工事項目を契約書に含めることがありますが、これらは「Option」であって、Allowanceではありません。
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執筆者について
塚田 進

一級建築士、認定コンストラクションマネージャー(日本CM協会)。
1983年大手エンジニアリング会社入社。大型EPC案件の土木・建築を中心とした国内・海外プラント設計、海外現場管理を経験。エンジニアリング マネージャー、建築部部長代行を経て、2006年同社インドネシア法人社長に就任。700余名の現地社員を率い2014年まで企業運営とインドネシア国内中小案件をリード。海外駐在は、インドネシア、UAE, タイ、イラン、中国、カタール等、延べ15年以上に及ぶ。2016年株式会社シーエムプラスに入社。 国内外固形製剤工場、食品関連工場、医療機器製造設備等において顧客側コンサルタントとしてプロジェクトマネジメント業務(基本設計、ゼネコン引合い・評価、遂行管理等)に従事。
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