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プロジェクトマネージメント基礎知識-VOL.2

プロジェクトマネージメント基礎知識-VOL.2

4.プロジェクト計画とコントロール(PDCA)の重要性

プロジェクト計画は、プロジェクトを遂行するための基本であり、プロジェクトの成否を左右する大きな要素である ( 図2)。プロジェクト計画には、スケジュール、コストの進捗状況をモニタリングするための、進捗基準の設定、進捗実績の測定方法の設定も含まれる。具体的な計画の内容については、第 2 章「プロジェクト計画 (PJ の仕組み作り )」にて詳述する。

なお、プロジェクト計画は、絶えず状況に合わせて変更を必要とする継続的なプロセスを進めて行くための基盤であると認識しておくべきである。この文脈において、プロジェクト・マネジメントとは、常に計画と実績の差異 ( ギャップ ) を把握して、このギャップを埋めて計画を達成するコントロール技術と言えよう。つまり、PDCA サイクル*5を廻して行く継続的な活動に他ならない。なお、この活動には、計画の結果である実績値に対してコントロールをかけて計画値に戻して行くフィードバックだけではなく、実績を予測して事前対策を取って行くフィードフォワードも含める。

図2 プロジェクト計画の重要性

更に、プロジェクトにおける活動 ( 作業 ) の単位は多種、多量であり、またこれらには相互に依存する関係性があることから、各作業単位の最新情報を絶えず関係組織に伝達し調整 ( コーディネーション ) を図っていく必要がある。プロジェクト・マネージャの質 ( リーダーシップ )、コミュニケーションがプロジェクトの成否に大きく関わる要素である所以である ( 図3参照 )。事実、米国プロジェクト・マネジメント協会 (PMI;Project management Institute) の調査では、目標を達成したプロジェクトの 80% では組織内のコミュニケーションが非常に効果的 ( 緊密 ) であったと報告されている 2)

*5 PDCA サイクル ; Plan ( 計画 ) → Do ( 実行 ) → Check ( 評価 ) → Action ( 改善 ) の 4 段階を繰り返すことによって業務を継続的に改善することでISO9001の基本的なアプローチである。


出典:PMAJ ( 日本プロジェクトマネジメント協会 ) 公開資料
図3 プロジェクト・マネージャの悩み

5.WBS、コントロールの基本単位

プロジェクトは、効果的な計画と管理を行うレベルまで作業を、MECE*6 に細分化する必要があるが、この解が WBS (Work Breakdown Structure: 作業階層構造 ) である。これは、プロジェクトをトップダウンの階層に構造的に分割し、相互関係を明確にしてフレーム化する手法であり、プロジェクト・マネジメントの基本である。
なお、WBS の展開に於ける最下位レベルの管理単位をワークパッケージ (WP: Work Package) と呼ぶ。

*6 MECE; Mutual Exclusive Collectively Exhaustively「重複なく、洩れなく」ロジカル・シンキングの手法。

WBS 活用のメリットは以下の通りである。

① プロジェクトを構成する全作業を把握、識別することが可能となる。
② 各作業の欠落や重複を防止するとともに境界が明確となる。
③ 各作業に対して、責任、権限、役務分担を割り当てることが可能となる。
④ 作業間のシーケンス ( 手順 ) を明確にして、論理的なスケジュールの策定が可能となる。
⑤ 発注、コスト、追加・変更の一元管理が可能となる。

⑥ 設計成果物、各種レポーティング等のプロジェクト・データの一元管理が可能となる。

WP は標準化してコード化するが、例として以下図4に示す。

図4 F-WBSの構成要素

 

次回「6.プロジェクトマネジメントの体系」へ続く。

参考文献
2) PMI (Project Management Institute,Inc.), “PULSE OF THE PROFESSION,THE ESSENTIAL ROLE OF COMMUNICATION”, 2013

 

シーエムプラス海外情報発信HP事務局


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