マレーシアで事業を拡大するための紹介
製薬および医療機器産業(7回シリーズ)
第5回:マレーシアへの投資:インフラストラクチャのサポート
第5回:マレーシアへの投資:インフラストラクチャのサポート
この記事では、マレーシア政府が提供する医薬品及び医療機器業界向けのインフラストラクチャサポートを紹介します。全国には200を超える工業団地と13の自由工業地帯 (FIZ) が開発されております。FIZ内の企業には、製造工程に必要な原材料、部品、機械、設備等の免税輸入が許可されております。しかし、FIZが利用できない地域でも、企業はライセンス製造倉庫 (LMW) を設定することにより、同様な免税が得られます。
尚、シリーズの紹介で簡単に述べたように、ロジスティクスに関しては、マレーシアは ASEAN地域で世界貿易の中心的なハブとして機能する好位置にあります。したがって、政府は、マレーシアの製品がアジア及び世界中の市場に予定どおりに届けられるように、物流とインフラストラクチャの開発と改善に継続的に投資しております。
工業団地
以下は、政府が開発したいくつかの製薬及び医療機器業界向け工業団地及びFIZとなります。他の工業団地を含む完全なリストについては、弊社が編集したリストを参照してください。
MIDA資料より引用したマレーシアの工業団地と専門公園
1. ポートクランフリーゾーン(PKFZ)、セランゴール州
PKFZは、4.0km2の統合されたFIZであり、国際貨物の配送及び混載センターに施設を提供しております。本団地は製造活動を可能にするだけでなく、地域の流通センターや国際調達センターの成長を促進するように設計された混合開発プロジェクトとなります。製造工場と物流会社を同じゾーンに配置されていることにより、サプライチェーンの調整を容易にし、よりスムーズな管理ができるようになります。PKFZ は、世界120か国と500の港と貿易を結び、ウェストポートに隣接し、マレーシアの首都クアラルンプールの国際空港 KLIAに近接しています (約45分)。また、ノースポートにも近いため、商品の輸出入に便利な直接アクセスを施設に提供したおります。さらに、PKFZ は高速道路、高速道路、鉄道を介して、本土及び内陸部への優れた道路及び鉄道ネットワークの接続を提供しております。PFKZには物流及び倉庫業界企業が多く、入居企業例としてはCrane Worldwide Forwarding (M) Sdn. Bhd.(日系物流会社)、Baiduri Dimensi Sdn. Bhd.(マレーシアの物流会社)とCWT Warehousing(M)Sdn. Bhd.(シンガポールの物流会社)があげられます。また、PKFZのGMP対象顧客には、Unipharma Fzc Malaysia Sdn. Bhd.(マレーシアの獣医薬メーカー)、Malayan Fish Oil Sdn. Bhd.(マレーシアの魚油精製会社)とカーギル(アメリカの食品、農業、製薬会社)が挙げられます。
2. Enstek Technology Park(エンステック・テクノロジー・パーク)、クアラルンプール
エンステック・テクノロジー・パークは、約4.6km2の開発済みで使用可能な自由保有地で構成されております。本工業団地のサービスインフラストラクチャは、要求するユーティリティ能力に応じて新設することができます。団地の位置はクアラルンプール国際空港 (KLIA) から 10 分、クアラルンプールのダウンタウンからExpress Rail Link (ERL) 経由でわずか 38 分のBandar Enstek内にあります。本団地は住宅地、テクノロジー・ランド・パーク、商業の中心地、施設ゾーン4つの主要コンポーネントで構成されております。
このテクノロジーパークの顧客には、Fresenius Medical Care (アメリカのドイツのヘルスケア企業)、IBA Molecular (グローバルな医療技術企業)、PureCircle (アメリカのステビア甘味料企業) などがあります。
14 Infrastructure Support
ヌサジャヤ・テックパーク公式ページからのイメージ
3. Nusajaya Tech Park(ヌサジャヤ・テックパーク)、ジョホール州
ヌサジャヤは、ジョホール州の97km2の総合都市開発地域であり、マレーシア・シンガポール・セカンドリンクに最も近い工業団地の1つです。ヌサジャヤは、幹線道路と南北高速道路の包括的なネットワークによって、主要な国際空港、貨物ハブ、港と結ばれております。ヌサジャヤにある Bio-XCell バイオテクノロジーパークは、ヘルスケアと産業バイオテクノロジーに特化した最高のバイオテクノロジーパークです。本パークは、マレーシアのBio-XCell Sdn. Bhd.(Bioeconomy CorporationとUEM Land Berhadの合弁会社)によって開発されたテックパークとなります。
Bio-XCellパークは生物製剤、医薬品、バイオベース/グリーンケミカル、及び世界をグリーン化する等のソリューションの開発と製造に役立つ環境を提供しております。管理された工業団地として、Bio-XCellは顧客と投資家に、包括的なインフラストラクチャ、高速インターネットアクセス、パークのメンテナンスとセキュリティ、エコシステムを育むためのコア施設など、様々なメリットを提供しております。
Bio-XCellパークの主要施設には、セントラルハブとセントラルユーティリティファシリティ(CUF)があります。セントラルハブは、ビジネスセンター、オーディトリアム、ラボとオフィススペースの他、飲食店や小売店などの設備を備えた多目的複合施設となります。CUFは、パークの顧客にバイオ製造用の特殊なユーティリティを提供しております。顧客は、標準の建売シェルビルに製造施設を構築するか、パークで利用可能な敷地に独自の施設を建設する選択ができます。
Bio-XCellパークの顧客には、生物製剤施設がアジア最大のインスリン生産工場となるBiocon 社(インド)、Stelis Biopharma (旧称 Agila Biotech (インド))、METabolicEXplorer (フランス)及びGlycos Biotechnologies (米国) 等があります。
Bio-XCellの他に、ヌサジャヤの Afiat Healthpark と Medini エリアもヘルスケア施設の開発に特化しております。エリア内の施設には、病院、ポリクリニック、専門医用スイート、センター オブ エクセレンス及び研究開発施設が含まれております。
4. Kulim Hi-Tech Park(クリム・ハイテクパーク)、ケダ州
エンステックやヌサジャヤと同様に、KHTP は工業団地、アメニティーゾーン、住宅ゾーン、都市ゾーン、施設ゾーンの5つのゾーンで構成されており、新しいビジネスを開始するのに魅力的なエリアです。本団地の顕著な顧客は、Aspen Glove (マレーシアの手袋会社)、Peritone Health (マレーシアの製薬会社)、Mölnlycke (スウェーデンの医療機器会社)及びTeleflex (アメリカの特殊医療機器会社)などとなります。更には Osram Opto Semiconductors (ドイツ) や SilTerra (マレーシア)などのような半導体企業も本団地に工場を持っております。
臨床試験施設
全国の17の研究センターで構成される臨床研究センター(CRC)は、マレーシアで臨床試験を実施するために保健省のすべての病院と診療所にアクセスするための単一の窓口を提供することにより、ワンストップセンターとして機能しております。これらの臨床試験センターは、50棟以上の総合病院と地方病院、及び100棟を超える診療所臨床試験の潜在的な場所として連携しております。その結果、本センターを介してマレーシアに臨床試験を実施すれば、研究場所が提供されることだけでなく、公的医療制度の多数多様な治療分野からの臨床研究者のサイトサポートのアクセス及び患者から適切な潜在的な研究参加者の選択ができるようになります。
以下は、マレーシアで利用可能な臨床試験施設と生物学的同等性試験センターの一部です。
1. Info Kinetics社臨床研究センター、ペナン州
Info Kinetics社にて管理されている本臨床現場はペナン州のGleneagles病院と LohGuanLyeスペシャリストセンターの両方にあります。これらのサイトの独自システムにより、複数の研究を同時に実施することができます。その結果、両サイトではほとんどの主要な治療類の研究が対応することがあり、現在までに合計250件以上BE研究が実施されました。また、本センターは向精神薬やアヘン剤、経口吸入製品などの製造が難しいジェネリック医薬品の取り扱いに関する経験と専門知識もあります。サイトの臨床研究システムとしては、患者の募集が約1000人の潜在的な研究参加者のボランティアデータベースを適用しInfo Kinetics社にて実施され、両方のサイトからの血液サンプルの分析がGleneagles病院にて実施される。臨床試験は24時間体制の医療関係者と各センターからの緊急支援システムを利用して行われております。
Gleneagles病院が必要に応じて拡張可能な40床の病棟となり、LohGuanLyeスペシャリストセンターに24 床の病棟となります。その他の施設としてはアクセスが制限された温度管理された薬剤保管エリア、半個室の会議室、2つの独立したコンサルテーションスイートもあります。分析サイトには、LCMS/MS、サンプルのハンドリングラボ、冷却遠心分離機又は医薬品とサンプルの保管用の冷凍庫と冷蔵庫などの機器があります。
これらのセンターは、2008 年にフランスの規制当局、2006 年からマレーシアの国家医薬品管理局 (NPCB)、2013 年に FDA による検査を受けました。生物分析ラボは、ISO/IEC 17025及びOECD-GLPの認定をされております。
2. Ampang病院の臨床研究病棟(CRW)、クアラルンプール
本センターは、2011 年に運用を開始された保健省により設立された最初のフェーズI用臨床施設となりました。現在は、Ampang病院の臨床研究センターによって管理されております。センターは病院の本館のレベル7にある46床の入院病棟となり、実施されるすべての試験が、緊急対応チームへの24時間年中無休のアクセスによってサポートされることが保証されます。その他の施設としては、スクリーニングクリニック、臨床検査室、サンプル処理室、薬剤室があります。
検査分析は外部分析であるが、本センターはNPCBによってBA/BEコンプライアンスサイトとして認定された10のサイトのうちの1つです。CRWが提供するサービスには、プロトコルの開発、倫理及び規制への提出、輸入ライセンスの申請、患者募集、臨床行為、施設プロジェクト管理が含まれております。
3. マラヤ大学生物学的同等性及び試験センター(UBAT)、クアラルンプール
本センター2008 年に設立され、臨床サイトと生物分析サイトで構成されております。それぞれのサイトはマラヤ大学医療センターとマラヤ大学薬理学部に設置されております。医療センターの近く位置にあるためBE研究全体を通して医師と医師に24時間アクセスできます。現在までに、本センターは抗生物質や降圧剤に至るまで35件以上のBE研究を実施しており、多くの地元の製薬メーカーと協力しております。臨床現場の施設には、それぞれ30床の整った2つの臨床・検査病棟を用い、薬物動態サンプリング、呼気分析などに必要な機器が含まれます。2つ病棟を利用できることにより、異なるBE 研究を同時に実施することができます。また、分析サイトには、LCMS/MS、HPLC、バックアップ発電機システムと微量天秤を備えた冷凍庫と冷蔵庫などの機器があります。
本センターは2009年にBioNexusステータスを取得し、2012年にNPCBの「Bioequivalence Compliance Program」に登録されました。
4. Questra生物臨床研究センター、ペナン州
Questraは、マレーシアで臨床試験とBA/BE研究を実施するための独立した研究施設を設立した最初の受託研究機関 (CRO)となります。本センターは製薬業界及びバイオテクノロジー業界に第II~IV相臨床試験ソリューションを提供しております。センターの臨床研究ユニットは、登録と相談用の診療所、50床まで拡張可能な25床の臨床病棟及び薬物保管施設で構成されております。生物分析ラボは、完全なBA/BE研究を実施できるように設計されております。
本センターは2013年にBioNexusステータスを取得しました。また、最近NPCBから検査を受けられ、「Bioequivalence Compliance Program」に登録されました。
シーエムプラス海外情報発信HP事務局