- 2020 . 08 . 20
- ホワイトペーパー
海外工場建設プロジェクトの進め方-VOL.1
海外工場建設プロジェクトの進め方(10回シリーズ)
イントロダクション
アジアで工場を建設しようとした場合、その国の法整備が未熟だったり、インフラが未整備だったり、事前に検討すべき項目や、遂行中にも注意すべき項目は多義にわたります。ここでは、シーエムプラスの海外情報HP開設記念として、「海外工場建設プロジェクトの進め方」というタイトルで10回にわたり海外工場建設の基本的な留意点を掲載してゆきたいと思います。今後、以下のテーマで1,2週間に1回ずつ掲載してゆきますので参考にしてください。尚、執筆者の筆の進み具合でタイトルに変更が出てくるかもしれません。その場合はご容赦ください。
第1回:建設地の決定
第2回:工場具体化検討(基本設計段階)
第3回:実施設計会社、及び工事会社の選定
第4回:引合書の作成
第5回:契約書の注意点
第6回:見積書評価と選定
第7回:設計開始
第8回:工事開始
第9回:完成直前、引渡し
第10回:検収・引渡し後
さらにプロジェクト遂行全体の知識を理解したいという方は、世に出回っている書籍を参照するか、医薬工場建設プロジェクトであれば弊社運営のGMPプラットフォームウェブサイト(https://www.gmp-platform.com/)に掲載中の「医薬品工場建設のノウハウ」にも詳細が記述されていますので合わせてご参照ください。また、本稿では海外に進出すべきかというような経営判断の上流部分には触れていません。財務的投資体力チェック、投資対効果評価、マーケットリサーチ、持続可能性、現地パートナー検討、主要リスク評価など経営者が判断基準にすべき項目は記事としては一般化し難い事項です。しかしながら、現地パートナー探しなども含めこれらビジネス開発支援も弊社サービスメニューとしていますので、海外進出でお悩みをお持ちの企業様はぜひ当社ホームページのお問い合わせ窓口までご連絡ください。
それでは、「海外工場建設プロジェクト遂行」第1回目を始めます。
第1回:建設地の決定
海外に工場を建設する場合、おそらく多くの皆様はインターネットでその国の関連法規や工業団地情報、優遇策などを調査されると思います。それらは様々な情報源にちらばっており、JETRO,日本アセアンセンターなどのホームページに多くの情報が存在します。本稿を掲載している弊社ホームページでもそれらのリンクや情報を集約していますのでぜひ活用ください。
マーケット、税制、労働者保護規則、給与レンジ、政治リスクなどを熟考後に進出する国を決定したら、その国内のどこに工場を建設するかを決める段階になります。すでにその国の実情を熟知されている企業様では独自に土地権利を購入することもあると思いますが、まず、候補となるのは開発済の工業団地ではないでしょうか。しかも、日系企業がデベロッパーにとなっている工業団地が人気です。
建設地候補を検討する前に、まずは工場建設にあたり、妥協できない、もしくは希望する条件(物流、労働者数、土地広さ、水・電気などの必要量など)を概略想定してください。それを頭に入れて候補地の検討を開始します。主な検討項目は、それらを含め、土地価格、用役(ユーティリティー)の供給能力、港湾・空港への物流動線、労働者確保の容易さ、取引先企業の進出場所、実際に購入できる土地の建築条件、広さ、形状、自然災害リスク、排水処理条件、近隣工場からの煤煙影響、工業団地の投資優遇策などです。これらを工業団地の資料、プレゼン、実地見学などを経て検討し、候補地を絞ってゆきます。BCP(事業継続計画)の観点からも慎重に評価する必要があります。
工業団地運営会社にコンタクトし彼らのプレゼンを数多くこなすと、他の進出済企業がどのような判断基準でそこを選んだかのヒントも得られます。工業団地運営会社も商売ですから説明を求めれば積極的に応じてくれるはずです。しかし、時間は無限ではありませんので、効率的に判断材料を収集することが重要だと思います。弊社でも建設費用超概算検討含め、これら工業団地評価レポート作成を支援しておりますので、経営者の皆様のご判断根拠資料作りにご利用ください。
日系企業が多く進出している国では工業団地が数百もあります。その中でどこが良いのかなんてそう簡単に決められません。価格が高めでも日系デベロッパーが開発した工業団地の方が信頼性が高いとか、ローカル政府関係が開発した工業団地の方が物流に有利な場所に存在し便利そうだとか、労働力やマネージメント雇用に最適な場所はどこだろうとか悩みは深まるばかりかと思います。弊社をはじめ、この工業団地選定の支援に手を上げる企業・コンサルタントを活用しつつ、後で後悔の無い建設地選定を進めることが重要です。
シーエムプラス海外情報発信HP事務局